雑記⑮

ちょっと思い出してみると②

小学2年生の担任は、夢のような毎日でした。

クリクリ目のY君。Y君は、お母さんの離婚、そして再婚と三度目の名字だと教えてくれました。落ち着きのない彼は、交通事故で車の下敷きになりましたが、指先の一部のケガだけで助かりました。

よく私の前に来ては、失くした指先を突き出して「先生!ほらっ!」と自慢げに見せてくれました。

お調子者の彼は、暴走すると歯止めがきかなくなります。ある日の授業中、Y君に手を焼いた私は、「もう家に帰れ!」と言ってしまったのです。

彼は、言われた通りに机の中の教材をランドセルに詰めはじめました。

困ったのは私のほうです。このままでは、本当に帰ってしまします。

とっさに私は、もっとひどいことを言ってしまいました。

クラス全員に向かって「Y君は、先生の言うことを聞いてくれません!先生は困っています。そこで、皆さんに相談があります。隣のクラスは31人、うちは33人です。Y君を隣のクラスにやるとちょうど人数も合います。Y君を隣のクラスにあげても良いと思う人は手を挙げてください」

すると一斉にみんなの手が挙がりました。

隣りのクラスには行きたくないと泣きだすY君…。

「行きたくないのなら、先生の言うことを聞いてくれますか?」
「ウン!」
「だったら、ちゃんと授業を聞いてくださいね!」

泣きながらランドセルから教材を机に戻すY君!
ホッとした私…。

本当にひどいことをしました。
Y君、ごめんなさい。