最近読んだ本②

学校するからだ

著者 矢野 利裕

京都でぶらっと立ち寄った本屋さん。その名は「誠光社」、おすすめの本屋さんです。一般の本屋さんでは見つからない、出会えない本を手に入れることができます。この本もそこで購入しました。

著者は、現役の国語教師。その一方で、文芸から音楽、そして芸能「お笑い」まで批評する多才な人なのです。

章の見出しは、一章部活動、二章授業、三章教員、四章生徒、五章行事、六章コロナ以後の学校。著者が日々経験し考えたことを、学校現場を知らない私たちに教えてくれます。

第二章にある『「走れメロス」を読解してみた』が興味深い。「学問それ自体がそのまま面白い」ことを生徒に実感させるための授業なのです。

具体的には、走れメロスは、単なる友情物語ではないことを、語り手の言葉をもっと詳細に検討することで、生徒に意外な事実に気づかせる。誰が一番得をしたのか、王様視点で読んでみると新しい事実が明らかになってくる。

授業後のある生徒の感想には「色々な視点から読むことで、一つの物語が全然違う物語になって面白かった」とあります。(こんな言葉を生徒からもらえるなんて!!!)

こんな国語の先生が欲しいです。今の世は、英語、英語、英語!本読みができない子にも英語!その前に国語でしょ!国語の面白さを伝えれる先生が欲しい!しかし、現実にはこれほどの技量を持って教えれる先生は少ないのです。

読み終わってから知ったのですが、今世間を騒がしているジャニー喜多川さんの事件ですが、博報堂が、自社の雑誌の対談記事「ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」の内容をジャニーズ事務所に配慮してその一部表現をを削除したことが問題になっています。

その対談で発言を削除されたのが、この本の著者の矢野さんです。「ジャニーズと日本」という本を書かれています。薄っぺらい知識しか持ち合わせない私からすると、博識な上にそのすそ野の広さに驚かされます。今後の活躍が楽しみな方です。