楕円球の思い出!⑧
自慢!
私のポジションは、フッカーでした。スクラムの前列中央、両脇にデカくて力の強いプロップ二人に挟まれて仕事をします。スクラムハーフがスクラムに入れたボールを足で後ろ(味方側)にかくのが主な仕事です。専門的な仕事が多いのですが、昔は、ボールを華麗に回すようなことはなく、たまにもらったボールをまっすぐ走って相手にぶつかり、味方の援護を待つ。トライを決めることなどほとんどない地味な存在でした。
ところが今は、堀江選手みたいに何でもこなせる器用なフッカーが増えました。一人で二人分、いや三人分の仕事をします。ラグビーも変わったものです。明らかに進歩しています。
我が草ラグビーチームも一人前に夏は「菅平合宿」をしていました。そこには全国からラグビーチームが集まり、合宿中ラグビー漬けの毎日を送っていました。おそらく今もそうだろうと思います。
合宿の間、練習試合を3,4試合していたと思います。その日の相手は、東京のS大学でした。あいにく土砂降りの雨でグランドの周りに掘っただけの側溝があり、そこを溢れんばかりの濁流が流れていました。
試合開始後、すぐに初めてのマイボールスクラム、「アレ!」圧力を感じない、私は力を入れなくても押されない。なんだこれは!
相手のフッカーは、経験が浅いなと感じたわけです。そこで次の相手ボールのスクラムで、私は首を相手の胸の真ん中に入れ右肩をぐっと落とし巻き込む、いわゆる首を取りにいったのです。
すると相手は顔が右を向いてしまい、まったく左から入ってくるボールが見えなくなります。さらに、顔を右に向けたままでは、右足でボールをかくのが困難になるのです。
私はやすやすと相手ボールを奪い、マイボールにすることができました。
こうして私は、この試合のスクラムすべてを味方ボールにしたのでした。
そんなにすごいことなの?そうですよね!どれくらいすごいことなのか分かりませんよね!フッカーをやった経験のある方に聞いてください!
相手をかわしたり、振り切ったりして決めたトライなどありません。自慢できるのはこれくらいのことで…💦