このまま定員割れが続くと…

今年の3月の公立高校入試の総括です。全日制(昼間)の公立高校の募集3万6464人に対して、志願者は3万7109人、倍率1.02倍となりました。定員割れは79校(昨年70校)、このうち40名以上の定員割れが 23校(昨年20校)でした。この結果をどう受け止めるのか、意見が分かれるところです。
 以前から定員割れの高校はありました。これが近年急増し、2023年27%、2024年47%、2025年51%.と公立高校の半数以上が定員割れをする事態になっているのです。これは受験する側からすれば、ありが たいことです。定員を割れば受験者全員が合格!定員を超えた高校でも不合格者は数名しか出ない高校が続出しています。そして、志願者の人数を確認し低倍率の高校に願書を出す受験生も増えています。
 この定員割れの原因は、「私立高校の完全無償化」が大きく影響していると思われます。以前は、公立志向が高い大阪では公立高校の志願者倍率は高く、多くの受験生を泣かせてきました。無償化制度がないころは、塾での進路懇談で「うちは絶対公立です」「私立へは行かせられません」「ランクを下げて確実な公立高校を受験します」という保護者の方が多かったのです。それが私立の授業料を最大63万円まで国と大阪府が負担してくれるのですから、教育環境に恵まれた私学を選択する方が増えるのは当然だと言えます。
 しかし、心から喜んで良いのでしょうか?いうまでもなく、公立高校は皆様の税金で運営されています。生徒数が減れば授業料収入が減り、その穴埋めは皆様の税金で賄うことになります。また、定員割れや低倍率の高校には、今まで入学していた学力層の生徒ばかりでなく、その高校の学力に達していない受験生が多く合格しています。高校の授業についていけない生徒が増えるかもしれません。また、学力差の大きい生徒たちへの授業は、授業レベルの低下はもちろん、現場の先生方の負担が増えることになるでしょう。
 諸手を挙げて喜べない状況が続いていることをご理解していただけたらと思っています。