最近読んだ本③-2

チッソは私であった

前回からの続きです。

緒方さんは、認定や補償で終わってしまうこの闘いに疑問を持つようになりました。

システムの責任として、チッソや国や県を相手にしてきた。そこに人間はいない。一度も人間の口から詫びの言葉を聞くことがなかった。

責任を追及しても制度の中の顔にしか会えない。人間に会いたい!

こうして悩み、狂い、苦しみもがいた末にたどり着いた答えはこうでした。

水俣病は、現代の社会全体のシステムが生みだした問題であること。豊かさばかりを追い求めだ社会問題であること。

そして、その豊かな社会にどっぷり浸かってきたのは自分自身であること!

『時代の中ではすでに私たちも「もう一人のチッソ」なのです。「近代化」とか「豊かさ」を求めた社会は、私たち自身ではなかったのか。自らの呪縛を解き、そこからいかに脱していくのかということが、大きな問いとしてあるように思います。』

上手くまとめられませんが、苦悩の末に導かれた結論にハッとしてしまいました。

私たちが追い求めた利益や豊かさが、公害を生んだ。現代社会が起こしたことは、すべて私たちが引き起こしたものだ。

そうなのだ「チッソは私であった」と!

このあと、緒方さんは石牟礼道子さんらとともに独自の運動を続けられることになります。

強烈な言葉に、重たいだけでなく緒方さんの魂の叫びを感じました。是非皆さんにも読んで欲しい作品です。私ももう一度最初から読んでみようと思っています。