最近読んだ本⑫

アニマの鳥 石牟礼道子

この本は、近くの図書館で借りてきました。今どきの図書館ってすごいですね。自動貸出機の上に本を積み上げると、勝手に機械が情報を読み込んでくれて…。あのユニクロと同じように貸し出しができるのです。ビックリしました。

この本には、天草・島原の乱のことが書かれています。反乱を起こす前の人々の苦しみや葛藤、それぞれがおかれた立場、貧困の中でも力強く生きていた人々をさらに苦しめる天災、そして身分制度に胡坐をかいた圧政。起こるべきして起こった反乱であったことが書かれています。

最初は、中々読み進めることが出来ず、ページが進みませんでした。高校生の時、義兄の本棚から借りた「クローニン全集」を読んだことを思い出しました。内容など憶えていませんが、ページをめくるのにものすごく時間がかかったのです。最近、エッセイなどの軽い本を読むことが多かったので本格的な小説に頭がついていかなかったのかもしれません。

そんなこんなで読み進めていると、石牟礼さんの力量に驚かされます。一貫した文体とその表現力に圧倒されたのです。わたしにもっと語彙力と読解力があれば、もっと感動できたのではないかと思っています。

私の両親は、二人とも天草の出身です。地名はもちろん、故郷の言葉に触れられたのもうれしかったです。いやなによりも石牟礼さんの文才がすごい!後半の籠城後の様子や最期の戦いでは、逆にページをめくるのを嫌がっている自分がいました。

「アニマの鳥とは何ぞ。われらごときのものたちを救いの国へ導く鳥にござり申す。御主は悲しみきわまるさなかにも、御主を見棄てしものたちを『大切の人』と思い給うて、救いの道を明らかに示し給われたのでござり申す」