楕円球の思い出⑪

トンちゃんとの再会!

今から10年ほど前の話です。

息子が高校でラグビーを始めて、その高校の試合を見に行くようになりました。

その日の試合は、万博公園の周辺にあるグラウンドでした。私も大学時代そこで試合をしたことがあります。フェンスを越えたボールを探しに行ったことなど懐かしく思い出していました。

試合がハーフタイムになり、近くにあるトイレに行こうと歩き始めると「なっ!なんと!」見覚えのある顔がこちらに歩いてきます。「トンちゃんだ!」紛れもなくそれはトンちゃんでした。

トンちゃんは、大学の同期でした。ポジションはフランカー。とてもシャイな男で、よく顔を赤らめていました。人に嫌なことは言わないナイスガイでみんなから慕われていました。指がデカかったです。トンちゃんは指が大きすぎて電話のダイヤルが回せないと言われていました(笑)。試合になると人が変ったように暴れまくり、「超人ハルク」とも呼ばれていました(笑)。

そんなトンちゃんが歩いてくるのです。20年以上会っていなかったと思います。駆け寄って話をしました。何故この場所にいるのかを知りたかったのです。

「息子の試合を見に来たんだ」「どこの高校?」「K高校!」「えっつ!」と我が息子の高校の名前を言ったのです。

なんとも不思議な縁です。大学時代に一緒のチームで汗を流した友だちの息子が自分の息子と同じチームにいるのです。

学生の頃は想像だにしていなかったことが起こったのです。奇跡とは申しませんが、偶然とはいえ、そうある話ではないと思います。

それからは、試合を何回も一緒に見ました。ただトンちゃんの息子は一つ上で一年早く卒業していきました。

その頃、K高校にテレビが来ました。「学校に行こツ!」というコーナーです。トンちゃんの息子のクラスが取材を受け、誰がクラスで一番カッコいいかとの話になり、トンちゃんの息子の名前があがりました。「どこがカッコいい」と聞かれたクラスメイトは「鍛えた体がすごい!」と話したのです。

大阪の子なら、ばっと服を脱いで見せるところですが、そこはトンちゃんの息子です。シャイな遺伝子を受け継いだ彼は、最後まで服を脱ぎませんでした!!!