算数の先生!

皆さんにお勧めしたいことがあります。

それは、お子様の国語の教科書を読んでいただきたいのです。

昔と変わりましたよ!教科書と侮ってはいけません。結構面白いのです。新しい教科書に変わると、塾では各教科の新教科書をそろえます。そして、国語の教科書を真っ先に読みます。もちろん、古典や誰もが知る人達の作品もありますが、今の時代を反映した新しい感覚に触れることができます。

著名人の作品が多く取り扱われるようになりました。また、近年、著作権法の改正に伴い、使用料の問題が厳しくなったからか、教科書のために書き下ろした作品が多くなりました。つまり、市販などされていない教科書だけでしか読めない文章が増えているのも楽しいのです。

教科書に劣らず、塾教材にも優れたものがあります。先日も中3の夏期テキストを読んで、その内容に共感し、出題されている一部ではなく、この本を探して読んでみたいと思いました。

子供たちが読み解く中で、著者が何を語ろうとしているのかを理解して欲しいと切に願います。

最近読んだ本は、「算数の先生」国本東九郎(ちくま学芸文庫)です。本書は、2011年に出されていますが、文庫になる前は1964年に改訂出版されています。なんと、改訂される前は1928年に「小学生全集」の中の一冊として誕生したものです。

今から80年以上前に書かれた作品ですが、その内容の新鮮さに驚きます。計算から始まりピタゴラスの定理まで、まさに現在の中学入試の礎になった作品なのかと思えます。

算数専門の教師が、子供たちの興味を引き出しながら難問を繰り出していきます。もちろん、当時の子供達でも中々解けなかったであろう問題です。

すごいのは、その教師の力量です。子供たちからどんな質問を受けても即座に答えます。それどころか、さらにその先へと子供たちを引きこんでいくのです。

こんな先生がいたら、算数が好きな子はもちろん、嫌いな子供たちまで算数の世界に興味を持つことでしょう。

今の算数の授業はどうでしょう?何故そうなるのかを教えるのではなく、やり方や公式をおぼえ使えることに力が注がれています。子供たちは面白さを感じないまま、機械みたいに問題を解いているだけです。

受け手の子供たちにも問題があります。与えられた課題に食いついて根気よく解くことができません。いつのまにか算数は、解き方にそって答えを求めるだけの単純作業になっているからです。

指導する立場としては、自分の知識、指導技術を向上させること。もちろんそれに加えて熱意が必要なことを今更ながら痛感しました。

こんな意味で、小学校でも英語同様、算数や国語専門の先生が指導するのは良いことだと思います。

今の先生は忙しすぎるのです。次の日の授業準備には、放課後雑務を済ませた後、最低3~4時間はいることでしょう。毎日8時、9時まで残らないと帰れません。きっともっと面白い授業をして、クラス全員の子に理解させたいと思っているに違いないのです。

古き良き時代の話なのかもしれませんが、この本を読んで今の学校が抱える問題を感じます。そしてこの問題は、抜本的な改革なしでは解決しないのだと思います。